フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
34-5・読み聞かせについて 
2006年7月31日発行読書運動通信34号掲載記事7件中5件目
特集:絵本・児童書
お知らせ:「読み聞かせ会」報告
紹介:宮沢賢治の本〜第2回
「読み聞かせ」という言葉もここ数年で一般的になってきました。
「開き読み」と称されることもあります。「読み聞かせ」とは、
集まった子供たちに絵が見えるように、本を開いて見せながら
読んであげることをいいます。紙芝居のように絵本を読んであげることと
考えると分かりやすいのではないでしょうか。幼稚園や保育園、図書館や、
最近では書店などでも開かれる「お話会」は、この読み聞かせを行うものと
考えていいでしょう。「お話会」は絵本の読み聞かせだけではなく、紙芝居や
「むすんでひらいて」のような手遊びなども交えて行います。子供たちと共に、
読み手である自分たちも楽しい時間を過ごすことができるものです。
今年度本学では読書運動科目として依田和子先生を講師にお迎えし、
「読み聞かせ」の授業が開講されました。この授業では読み聞かせの
基礎的な方法を学び、授業を通し世界各国の絵本を知ることができます。
前期のみではありましたが、私はこの授業の中で、懐かしい絵本に再会したり、
珍しい仕掛けの絵本に出会ったり、新たにすてきな絵本とめぐり合ったりするなど、
毎回楽しく貴重な時間を過ごすことができました。
今回、読書運動プロジェクト初の試みとして、7月7日(金)、10日(月)の
2日間、依田先生ご指導のもと、緑園キャンパスから徒歩5分ほどのところの
「緑園なえば保育園」に読み聞かせに行ってまいりました。
 この計画がスタートした時点では、一般学生からの参加者が一体
何人くらいになるか見当もつかず、もしかすると応募者ゼロかもしれないという
危惧を抱いていましたが、7月7日は総勢21名、10日は14名という
多くの参加者があり、メンバー一同驚きを隠せませんでした。
 私たちを受け入れてくださった「緑園なえば保育園」では、地域との交流を
積極的に進めておいでで、本学の他の団体も何度かお世話になっています。
コテージ風の広い園内にはたくさんの子どもが元気に遊んでおり、私たちが
入っていくと目を輝かせて迎えてくれました。
 初回である7日の読み聞かせは、まず素話(小道具や本などを使わず話だけを
すること)からはじまりました。今回、この素話をご披露くださったのは、
依田先生ご主催の読み聞かせサークルのベテランの方で、その語りの面白さに
園児のみならず、参加者までもが引き込まれてしまいました。
 その後、学生2〜3名に対し園児4〜6名を1グループとし、保育園1階の
多目的ホールでグループごとにまとまって読み聞かせを行いました。
 終わった後には本来の読み聞かせとは違い、大人も子どももないような、
にぎやかな遊びの会になってしまいましたが、好奇心と生命力に溢れた子どもと
触れあえたことで、参加者は多くを学ぶことができたと思います。
 10日は前回の反省を踏まえ、園児を興奮させすぎないように年齢別の教室に
分かれての読み聞かせになりました。ここでもやはり最初はベテランの方に素話を
していただき、その後学生たちが読み聞かせをしました。子供たちと読み手側の
人数を調整し、その組の担当になった学生が一人ずつ順に読み聞かせをしたところも
あれば、クラスの中で更に小さくグループに分かれて読んだ組もありました。
読み手が多かったために一人一冊程度しか読めませんでしたが、子供たちが
きらきらした目で絵本を見つめ、話にぐっと引き込まれている様子や、真剣な
視線を間近で感じると、やってよかったと満足感を覚えました。子供たちが笑うと
緊張もほぐれ、こちらも自然に笑顔になります。短い時間ではありましたが、
色々な発見もあり、楽しい時間を過ごすことができました。
 しかし、今回の企画は学内という範囲を越え、保育園という外部と
関わるものでした。大人として出向く以上、子供たちの手本となるべきである、
と服装や態度に対し注意を受けることもありました。また、事前の準備も
万全とはいえず、直前に慌しく整えることになり、ご指導の依田先生、
および保育園の先生方にはご迷惑をおかけすることになってしまいました。
練習時間も多くは取れませんでした。
 今回の企画は、保育園に大学生のお姉さんたちが本を読みに来てくれた、
という特別な思い出として子供たちに残ることでしょう。ただ楽しむだけではなく、
きちんとした態度で臨むことが求められるのです。反省点も多々ありますが、
講演会や読書会とはまた違う貴重な体験をすることが出来ました。
(日文3年 佐々木かおる)

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