フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
25-2・特集 座談会「ファンタジーとの出会いと魅力」-1
2005年4月1日発行読書運動通信25号掲載記事4件中2件目
*この記事は7まであります
特集:座談会「ファンタジーとの出会いと魅力」
おしらせ:1.2005年度のテーマ/2.ファンタジー関連おすすめの本
日時 2003年7月1日(火) 午後6時〜8時
場所 図書館4階館長室

座談会参加者 (2003年7月 当時)

英文学科非常勤講師:伊藤 盡(つくす) 先生
日本文学科教授:佐藤裕子 先生
司会 日本文学科4年 伊東真希 さん
日本文学科3年 鈴木加奈子さん
日本文学科1年 三浦翠さん
同席 三田村雅子 先生(フェリス女学院大学附属図書館館長)
   高橋由華 さん(読書運動プロジェクト学生メンバー)

●『エルマーのぼうけん』 がルーツ・・・?●
司会:
今回はファンタジーにテーマを絞って話をしたいと思いますが、
皆さんはどんなところからファンタジーを好きになりましたか?
先生はどんなところから入られたかというのが気になるのですけれど。

伊藤:
そうですね、多分ぼくは童話ですね、『エルマーのぼうけん』
(ルース・スタイルス・ガネット著,福音館書店)がルーツです。

司会:
先生はエルマーのどんなところに惹かれたのですか?

伊藤:
そうですね、地図がついているから、冒険をするときに、
その冒険のあとが見られるじゃないですか、読んだ後にそれを見て、
飽きないんですよね。3部作になってますよね、これを何度も何度も繰り返し…。
しつこいんですよね(笑)

司会:
いえ、でも好きな本は読みます、何度も。

伊藤:
それに、知恵がありますね、例えばライオンをどう言いくるめるかとか、
お化粧をしてあげるとか。旅をするときにアドバイザーがいるでしょ、
コレを持ってくといい、といってね。それがどういう使い方をされるのか
というのが子供心に楽しみでした。

司会:
三浦さんはどうですか?

三浦:
幼稚園の時に先生が『エルマーのぼうけん』を持ってきて下さったんです。
それで読んだんですが、ワニを使って川を渡るシーンで、
シッポに飴をつけるところがあって、その飴が欲しいなと(一同笑)、
また、ワニの背中に乗って渡ってみたいなとか、りゅうがいたらいいのにな、とか。
それと、母がミヒャエル・エンデが好きで、『モモ』とか『はてしない物語』とか、
それらを読んで、もっとファンタジーを読みたいなと思いました。
絵もいっぱいあったので、楽しいと思ったんでしょうね。
文章だけじゃなくて絵があるから深いというか、絵を見て色々想像したり、
絵からわかることが多いのもファンタジーにはまった理由じゃないかと思います。

伊藤:
『エルマーのぼうけん』に出てくる、りゅうがかわいそうなんだよね、
男の子としては義侠心をくすぐられるというか。弱いモノを助けに行く所が。
女の子が読んだらこれはどう思うのかなあ?

三浦:
幼稚園児だったので、感情移入しちゃって、どういうのが作者の意図だったのかは
ともかく、かわいそうだなと思いました。男の子が読んでも女の子が読んでも
一緒だと思います、小さい頃は。

伊藤:
大人になってから読みましたか?

三浦:
小学校になってからは読んだんですが…大学に入ってからは…
なにぶんテストで忙しく(笑)…もう一回読みたいとは思っているんですが。
長期の休みを利用して、全部読みたいなと思います。
大学に入ってから読み直してみるのも楽しみだなと思います。

●本がバラバラになっても・・?●

司会:
鈴木さんはどうですか?

鈴木:
私は日本のものが多かったです。例えば佐藤さとるさんの
『コロボックル物語』(講談社文庫)が大好きで、延々と読んでいて、
本が全部ばらけたので今はパンチで穴を空けて綴じています。

一同:
すごいね。

鈴木:
今も半年に一度くらいは取り出して読んでいます。
あと、佐藤さとるさんだったか判らないんですが『おしゃべりゆわかし』
(佐藤さとる著/村上勉絵,あかね書房)が大好きで、
字も読めない頃から親に読んでもらって、それを暗唱していたのを覚えています。
それが多分私の最初のファンタジー体験です。
そこから童話だとか不思議な話に惹かれていったのだと思います。

伊藤:
そういう子どもの頃の本というのは覚えていますよね。
絵も覚えてますよね。

鈴木:
そうですね。文も心に残ります。『おしゃべりゆわかし』で言えば、
ゆわかしの言葉の言い回し、語尾の部分だとか心に残ってます。
『コロボックル物語』の方も覚えてますね、今でも読んでますから。

司会:
どんなところが魅力だったんですか?

鈴木:
まず家にありました。親が買ってきて、子どもに読ませるのではなく、
勝手に読んでいたんですけどね(笑)。手近にあったからというのがあるかな。
佐藤さとる先生の本は、言葉が整理されていて、
難しい文でも理解できちゃうんですね、だから普通の絵本よりももっと
凄いのを読んでるんだという自負みたいなものが出てきて、
それではまったんじゃないかと思います。

伊藤:
バラバラになるまで読んでいたというところで、
みんなさっきもすごいねって言ってましたけど…。

鈴木:
そうですか。最初は、表紙がばらけたんで厚紙で補強してガムテープで留めたら、
ホコリで汚くなってしまって。それでも読んでたら固まっちゃったんです。
それを無理矢理開いたら中もばらけちゃって、それで穴をあけて綴じたんです。

伊藤:
本が大好きだから出来るんだよね。またそれを凄いと感じるここにいる人たちもまた
本が大好きなんだろうね。
本が嫌いな人なら「なんでそこまでして」と思うだろうね。

鈴木:
ウチにある本もボロボロです。親が買った初版の『指輪物語』
(J. R. R. トールキン著)は表紙がフェルトになっています。
さわれないくらいボロボロで。それでも読んでるという。

伊藤:
紙質は版元の装丁で決まるんだけど、評論社の本は紙に手を掛けてあって、
読んでケバだっても破れないそうです。孫まで読ませるという(笑)

鈴木:
それと訳が最初は瀬田貞二さんなんですけど、訳者が変わるその都度に
買っているからどれも大切にとっています。
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