フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
25-2・特集 座談会「ファンタジーとの出会いと魅力」-7
2005年4月1日発行読書運動通信25号掲載記事4件中2件目
*この記事は7まであります
特集:座談会「ファンタジーとの出会いと魅力」
おしらせ:1.2005年度のテーマ/2.ファンタジー関連おすすめの本
●最後にひとこと●
司会:
では皆さん一言ずつお願いします。

三浦:
じゃあ『指輪物語』で、私が好きなのはガンダルフさんですね、
みんなたぶんアラゴルンがいいとかレゴラスがいいとか言うんですけど。
知恵があるっていうか、深い考え、みんなのことをちゃんと考えている人が好きです。
『ハリー・ポッター』は自然が少ないと思うんですね。
機械的、現代的なものが多いですよね。『指輪物語』は世界と自然が密接に
関わっていますよね。エントが出てきたり、オークが木を切っていくとか。
エルフが闇の森や裂け谷に住んでいたり、国による自然の違いがきれいに
書かれていて、世界が明示されているところがいいなと思います。
ガンダルフさんは、老人はお荷物じゃなくて知恵があるということを示しています。
みんなをまとめるカリスマ性があって、みんなのことを最後まで考えていて、
助言を与えていくというところがいいなー。
おじいちゃん子だったからかもしれませんけど。

鈴木:
私は伊藤先生の授業を取って一つだけ後悔したなって思ってることが
あるんです。先生の授業で、色々ウラがあるんだって思ってから、
素直に本を読めなくなってしまったんですよ。それで、ああ、失敗したなって。
オススメの一冊ってのは、私は考えてなかったんですけど…。

佐藤:
『指輪物語』で好きな人は?

鈴木:
トム・ボンバルディル!大好きです。あの人は永遠にゴールドベリ
追っかけていてほしいですね(笑)あと、『シルマリルの物語』なら、
フェアノール。オススメはじゃあ、『シルマリルの物語』にしときましょうか。

伊藤:
いっぱいありすぎて困りました。
『ライラの冒険』を今日言おうと思っていたんですけど。
僕はファンタジーをどう括ろうかというのをいつも迷っているんです。
勿論ジョージ・マクドナルドは読んでほしいんですが。
うーん、いっぱいあるんです、『聊斎志異』とか『紅楼夢』とかね。
そういうものも読んでもらいたいですね。つまりファンタジーと言った場合に、
これは女子どもが読むものだ、という先入観をなんとか払いのけてほしいと
思うんです。
トールキンは”fantasy”という言葉を使ってないんです。
使っていても文学ジャンルについてではなくて、”fairy story”とか
”tradition”とか”legend”とか”myth”とか。そういう「神話」とか
「伝承」というのになっているので、要は今まで語り継がれていたものなんだ、
と思っていたみたいです。そうすると『イーリアス』とか、
読んでいただきたいなと思いますけど。最近新しい訳が出たので、
読みやすいようなのでそちらもぜひ。
いま、ファンタジーと呼ばれていないものを見つけて、
「これこそファンタジーだ!」というのものがあって欲しい。
SFの中で『パーンの竜騎士』(アン・マキャフリイ著,早川書房)
というのがあります。それはファンタジーです。それから、今度評論社から
版権が移ってしまうんですけど、大地の子シリーズから『大地の子エイラ』
(ジーン・アウル著)ってのがあります。あれもファンタジーです。
ただあれは第三部までは中村妙子さんの訳なんですが、
第四部からは違う人になり、作者の考え方も変わってきてしまいます。
が、第三部まではファンタジーです。第三部までは読めると思います。
あとは『カレワラ』(岩波文庫、講談社学術文庫、ほか)を
ぜひ読んでいただきたいと思います。あれはフィンランドの神話ですけれども、
森本覚丹という人の訳が素晴らしいので、ぜひ読んでいただきたいと思います。

佐藤:
ワイナミョイネン(フィンランド叙事詩『カレワラ』の主人公)とかですか?

伊藤:
そうです。

佐藤:
だったら『ベーオウルフ』(岩波文庫ほか)もですよね?

伊藤:
『ベーオウルフ』はですねー、ちょっといい訳がなくて…
私は一体何をしているんだという、苦しさを感じます(笑)
あとは『ニーベルンゲンの歌』(岩波文庫ほか)も読んでいただきたいですね。
本当にいっぱいあります。
本当は僕は北欧の歌を紹介しなければならないんですが、
そうなると、『アイスランド・サガ』(ジェス・L. バイヨック著,
東海大学出版会)というのがありまして、厚いんですが、
それを是非読んでください。

一同:
ありがとうございました。

佐藤:
これもう一回くらいやらないんですか?やりたいですよね。
なんかこれから始まりそうね。『指輪物語』でなら私はこの人とか。
私ならサムですよ、お嫁に行くなら。また言ってるけど(笑)

鈴木:
彼が一番がんばってるんですよね。最後の最後で指輪はかつての所持者に
渡っていっちゃうんですよね。哀しいですね。

伊藤:
哀しいね。

佐藤:
私は好きな人を全部「お嫁に行くなら」って言ってるけど(笑)
これは「いつも一緒にいたい人」って意味よ。泥足にがえもんなんか。

伊藤:
あ、『フロドの旅』(『指輪物語 フロドの旅―「旅の仲間」のたどった道』
バーバラ・ストレイチー著/伊藤盡 訳,評論社)を是非読んでくださいって
言うの忘れた。

司会:
じゃあ書き加えておきます。ありがとうございました。
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