フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2005年度第1回創作コンクール受賞者発表
◆詩部門

第1席 『緞帳』 音楽学部声楽学科2年 菅原由衣子
次 席 『一陽来復』 文学部日本文学科3年 ペンネーム 佳月詩緒里

◆小説部門

第1席 『私の空欄』 文学部日本文学科3年 ペンネーム 寺岡香苗
次 席 『シグナル』 文学部日本文学科2年 佐々木かおる

◆戯曲部門

第1席 該当作品なし
次 席 『「正しい幸せ」の見つけ方』 文学部英文学科4年 ペンネーム 宇卵々夢
◆第1回創作コンクールに寄せて◆
ェリス女学院大学が図書館を中心に「読書運動」をはじめて4年
になります。「一冊の本」を定めて、その本を中心に本を読む輪を作
っていこうという試みは、すこしずつではりますが、成果を挙げつつ
あるようで、2005年度には文部科学省の特色GP(特色ある取り組み、
グッドプラクティス)に選ばれ、助成をいただけるようになりました。
一層張り切って成果を挙げなければと考えましたが、読書をテーマに
していると、本を読んだことをどう成果として示すのか難しいところ
で、図書館の入館者数も図書貸出し数もどう読んだかの実態を示して
はくれませんし、読みの深さもわかりません。私どもとしては、読書
が学生さんの中で成熟され、血となり肉となっていく課程をこそ捉え
たいわけですが、読書アンケートなどではそこまで届きません。
 そこで2005年度から「本を読んで考えたこと」と「創作コンクール」
を春と秋にそれぞれ1回ずつ行うことにしました。この本はその「創作
コンクールの」応募作品の中から1席2席に該当する作品を、詩・小説・
戯曲の3部門から選び、載せたものです。それぞれ四百字詰原稿用紙換
算50枚以上の制約がありますから、どれだけ応募があるか心配しました
が、詩部門6作品、小説部門6作品、戯曲部門1作品の応募がありました。
どれも力作で、枚数制限をはるかに越えた作品もあり、審査する教員の
側は大きな手ごたえを感じました。
 それぞれの作品の、作品としての完成度はまだまだですが、これから
の可能性を中心に採点してみました。こうして、世に出すには至らない
ところの多い作品ですが、「今」を生きる学生の息吹を感じ取っていた
だけたら幸いです。
 このコンクールの応募を契機に、ずっと詩を作りつづけていますと言
ってくれた学生さんもいますし、応募作品をそのまま出版した学生さん
も、戯曲を実際に上演した学生さんもいました。それぞれの学生さんに
とって、この応募・入賞とこのような形での刊行が、大きな刺激となっ
て、これからの「書く」という行為を支えることになってくれたら嬉し
いと思っています。
「本」を出すということは嬉しいことです。何かわくわくするような、
子供が生まれるような感覚に似ているかもしれません。立派な「本」に
なることは幸せですが、同時に恐いことでもあります。器にあう中身だ
ったかどうか、書いて満足できる作品だったか、期待と不安にゆれてい
ると思います。モノを書いて外に発表するとはそういうことです。書か
れた皆さんには、その不安と恍惚をたっぷり味わって、これからの出発
につなげてください。刊行おめでとう。

(フェリス女学院大学附属図書館長  文学部教授 三田村雅子)


授賞式の様子
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