フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
31-5・特集 キャンパスライフにオススメの本-4
2006年4月25日発行読書運動通信31号掲載記事14件中5件目
  特集:キャンパスライフ
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『少女@ロボット』 宮崎誉子著 新潮社
この作品集の主人公は、ほとんどがフリーターの女の子たちです。
次々と仕事を変え、当然お金もない彼女たち。
2年前に川端康成文学賞の候補にもなったこの作者は、
ポップで軽い文体とスピード感のある展開で、若い彼女たちの《今》を
リアルに書き出します。
きっと皆さんも使っているに違いない若者言葉。
正確な日本語ではないかもしれませんが、
皆さんの《今》を伝える言葉であることは確かです。
この作品集に描かれているモチーフは、表面上は軽く見せていても、
じわりと重く、現代に生きるということの哀しみを感じさせます。
しかしながら、明治期の自然主義文学ならば、何ページもかけて語られたような
それらの重いテーマも、現代の若者言葉を使ったユルイ会話ではたった
数行で決着してしまいます。
この作者の、ナマの言葉で文章を書いたらどうなるかという、
21世紀の「言文一致」の試みは、
これからどんな展開をみせるのでしょうか。
(図書館 鈴木明子)
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