フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
31-7・特集 キャンパスライフにオススメの本-5
2006年4月25日発行読書運動通信31号掲載記事14件中7件目
  特集:キャンパスライフ
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『ゲーテ格言集』 高橋健二/編・訳 新潮文庫 
皆さんの中には、「ゲーテ」という名を耳にすると
「ドイツ古典主義文学の巨匠の作品なんて、理解するには難しいに違いない」
と思い、敬遠してしまう人もいるのではないでしょうか。
ところがこの本は、生きていく上での極めて重要なことがら
(例えば、愛や芸術や、自由、社会、それから幸福)について
書かれているにも関わらず、文章が明瞭簡潔で、とても親しみやすい1冊なのです。
私がこの本に出会ったのは、大学を卒業してからでした。
仕事でもプライベートでも、学生時代には経験したことのない苦難に直面し、
先行きが全く見えず、その状況を乗り越えられない時がありました。
そんな時、偶然手に取ったこの本の、ある言葉が私に大切なことを教えてくれました
それは、
「苦しみが残して行ったものを味わえ!苦難も過ぎてしまえば、甘い」
という言葉でした。
つまり、苦難に直面した時には、何よりもまず、
その苦しい現状と自分を見つめ直さなくてはならないということです。
つらいことや自分の性格、特に短所を直視するのは嫌なものです。
しかし、敢えてそうすることで目の前の苦難をしっかりと受け止め、
前向きに乗り越えられるようになるのです。
それまで苦難を中々乗り越えることができずに日々苦悩していた私にとって、
ゲーテのこの言葉との出会いは、その状況を脱するきっかけになりました。
勿論、その後すぐに状況が一変して良くなっていったというわけではありませんが、
苦難を前向きな姿勢で捉える気持ちになれたことは、
当時の私にとっては大きな前進でした。
また、この一連の過程で経験したことは、自分の人生の大きな糧になったと思います
皆さんもキャンパスライフを送っていく中で、様々な問題や悩みに直面し、
どうしようもなく苦しい時もあるかと思います。
そんな時には是非、この本を手に取り、ゲーテのことばに触れてみてください。
きっと、かけがえのない心の拠りどころとなるはずです。(図書館 中村隆)
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