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2003年5月30日発行『読書運動通信4号』掲載記事7件中4件目
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「私の宮部みゆき」
初めて読んだ「宮部みゆき」
私はフェリスの読書プロジェクトで取り上げられて、初めて宮部みゆきさんの
本を読んだ。ベストセラーというものが何となく苦手だったのだ。
友人の勧めもあり、時代ものの、『あやし』と『初ものがたり』を読むことにした。
数冊読んで思ったのは、宮部みゆきさんの本には人の心がとてもリアルに
描かれている、ということだ。人は誰もが利己的な部分や優しい部分など、
色々な部分を合わせ持っていると思う。それらの矛盾の中で悩みながら
生きるところに人間らしさがあるはずだ。私が読んだ彼女の本の中には、
ただ冷酷非情で機械のような悪人も、うさんくさい程の善人も出て来なかった。
人である故に弱さに負けた人間や、それに打ち勝とうと必死な人間、
そういう当たり前の人間らしい人物たちが生きていた。だからこそ
宮部みゆきの本はおもしろい。人間でいるのも悪くないと思えてくるから。
(日本学科1年 溝田弥生)
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