フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2004年度21-2・特集:ポーラエクスプレス感想文-2
2005年1月24日発行読書運動通信21号掲載記事2件中2件目
   特集:ポーラーエクスプレス感想文
*この記事は1〜2まであります。
●→絵本「急行北極号」の感想
★→映画「ポーラーエクスプレス」の感想

日文 3年
●久しぶりに、絵本を読んでワクワクしました。
北極点の光や、町の様子など、絵で描かれている以上に
想像力をめぐらせて楽しみました。
そこには、子供の頃、思い描いていたクリスマスの風景がありました。
絵も文章も、暖かさを感じさせるもので、
『サンタクロースっているんでしょうか?』をふと思い出しました。
小説家・村上春樹とは、また別の姿が見られたような気がします。

★しんしんと降る雪、もうすぐ真夜中。原作を読んだとき、
やわらかいタッチの絵だったので静かな印象を受けました。
「この静かな感じのする絵本がどうしたら約二時間の映画になるのだろうか。
しかもCGで」と頭の中は疑問でいっぱいになりました。
「絵本の雰囲気が壊されていたら嫌だな。
でもトム・ハンクスがやっているって事は興味深い」と
不安と期待が半々の状態で映画館に向かいました。見てびっくり!
絵本では想像しなかった大音響。
確かにエンターテインメント色は強くなっていたけれど、
中心に一本芯が通っていて、伝えるべき事を見失ってはいませんでした。
原作に上手に手を加えていて、こういうストーリーを大事にした
CGアニメーションなら、もう一度見たいと思いました。


国際博前
●子供の頃、クリスマスにサンタクロースを
心待ちにしていたことを思い出しました。
今では、純粋な気持ちでサンタクロースを待つことなど
なくなってしまいましたが、その頃のワクワクした気持ちを
なつかしく思い出しました。みんないつか大人になって、
鈴の音が聞こえなくなるのは、少しさみしいような気もしました。

★映画、「ポーラーエクスプレス」には、
絵本『急行「北極号」』にはないスリルがありました。
絵本で呼んでいる時はゆったりとした北極号のイメージでしたが、
映画では波乱の連続で、
まるでジェットコースターに乗っているような気分でした。
幻想的な雪や北極のクリスマスの映像に、
クリスマスソングがプラスされクリスマスの雰囲気が溢れていました。
私は字幕で見たのですが、吹替え版では、
車掌さんの切ったキップの文字―Learn,Lead,Believeなどが、
どのように表現されていたのか、気になりました。


修士声楽 岡田 彩さん
●小学生の頃サンタについて語り合い下校した事、
サンタに手紙を書いた事、この絵本から
素直だったころの自分を思い出してしまいました。
これからも村上春樹さんの、素敵な絵本の翻訳活動に期待したいです。

★5分で読み終えてしまう絵本をどうやって長編映画に?
やわらかな絵本のタッチをどうCGで?
期待と不安を持って見に行きました。
実際、映画を観て、絵本そのものだった!!
といううれしさが正直な感想でしょうか?
登場人物の表情がCGで怖いほど表現され、
絵本にはないジェットコースターの様なスピード感が
映画「ポーラーエクスプレス」の魅力ですが、
それ以上にもう一度絵本を読み直したい気持ちに
させてくれる映画であったと思います。
クリスマスシーズンにまた観たいです。


日文1年
●誰もが子供の頃に信じていたサンタクロース。
私たちは大人になるにつれて、サンタクロースのような
存在を忘れていってしまうけれど、それが本当はいけないように思った。
この絵本を読んでいて感じたのは、子供の頃に誰もが持っていた純真さを
持ち続けることは、難しいけれども、大切だということです。
いつまでも持ち続けられたらいいと思いました。

★友人2人と一緒に見に行きました。
主人公の男の子がサンタを待つ最初のシーンでは、
自分もサンタに会いたかったなと思いました。
今でも叶うことならポーラーエクスプレスに乗りたいです。
でも主人公のように何も知らされていないで
ポーラーエクスプレスを目にしたら、戸惑ってしまうかもしれませんが。
映画を見終わった後に友人たちと、ホーボーが主人公にコーヒーを出す
シーンでは、「子供にコーヒーを出すならせめて砂糖とミルクを
渡さなきゃ飲みにくいんじゃないか」とか、
ジェットコースターのようなシーンでは、
「さすがディズニー映画だね」とか、
スモーキーのひげがひっぱられるシーンでは、
「すごく痛そうな叫び声だったね」とか、
「あの甲高い声が汽笛にがわりになるなんて便利だね」
などと大変盛り上がりました。


楽理2年 恩田真理子さん
●主人公の男の子の名前が出てこないので、
読む人が自分をそのままあてはめて読むことが出来ます。
子供の頃に戻った気持ちで、美しい冬の銀世界への旅を汽車に乗ってしていく、
ワクワクする話です。
銀の鈴の音は、大人になって失してしまったり、忘れてしまっている
“信じる心”を表すのでしょう。
失われた時を取り戻すための行程は、雪景色を見ながらの素敵な旅です。
大切なものは何かを考えられる、クリスマスにピッタリな絵本だと思いました。

★私は3D映像の「ポーラーエクスプレス」を鑑賞しました。
スリルあふれる映画で、遊園地でジェットコースター
5回位乗った気分を体験しました。
実際、あまりの臨場感に泣きだす子ども、車酔い状態に陥る大人もいました。
美しい雪景色に、北極に行った気持ちになりました。
汽車での爽快な旅は、とても楽しく感動的でした。
「サンタを信じるか」というテーマから友情の大切さ、勇気を学びました。
また、何度も出て来る「百聞は一見に如かず」ということわざを
実践するかのように、サンタと小人たちのいる国を、
汽車に乗って北極圏まで見に行くところが面白かったです。
絵本には登場していなかった、汽車に住む謎の人物も魅力的でした。
彼は影のように登場して、主人公を助けたりします。
物語は、少年から大人になりつつある主人公の心の葛藤を描いています。
「本当に信じている人には、サンタクロースは存在する」というのが、
この作品を通してのテーマです。


* 今回の通信に載せきれなかった感想文は、次号に掲載いたします。
* 子どもの純粋な心と、大人の理性と判断力を合わせ持った、
魅力的な人間になるのは難しいことかもしれません。
大学生はもう子供ではありませんが、まだ社会を経験しておらず、
完全な大人と言い切るのも難しい時期です。
実り多い大学時代を送ることは、心豊かな大人への道に続くと信じ、
これからも努力していきましょう!
2005年がいい年になりますように!(図書館)
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