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2005年11月24日発行読書運動通信29・30合併特大号掲載記事16件中5件目
特集:1.携帯本/2・食と文学
お知らせ:1.文部科学省特色GP採択について/2.イベントについて
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本好きの証拠
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本が鞄に入っていないと落ち着かなくなったら、
それは相当本が好きな証拠だと思っています。
私は乗り物酔いをするため、電車内やバス車内などではあまり本を読みません。
人と会う約束をしている場合、本を読む時間は待ち合わせ場所までの移動時間か、
待ち人が来るまでのほんの数分です。移動時間に本を読めない私にとっては、
後者の短い時間だけになります。互いが待ち合わせ時間に余裕を持って
集まってしまえば、その短い時間すらなくなってしまうこともありました。
それでも、本を鞄の中に入れて出かけてしまう自分を振り返ると、
ああ本が好きなんだなと、切に感じてしまうのです。
一人で買い物に出かけたときなどにも、勿論本を持っていきます。
大体はそのときに読んでいる本をこだわりなく持って行きますし、
その場で買うこともあります。なんとなく本屋に入って、
シリーズの新刊を見かけたり、勧められていた本を思い出したりすると、
新しく買います。思わぬ出費がかさんでしまうこともありますが、
それはそれで一つの楽しみです。朝に図書館で借りた本を、食事をして、
そのまま読んで、帰りがけに返却して帰宅、ということもあります。
丸一日空いているときでなければなかなか出来ないことではありますが。
薄めのハードカバーの本をコーヒーショップで誰にも邪魔されずに読むのが
息抜きになります。人混みは苦手ですが、お気に入りの店の中は何故か
安心してしまいます。不思議なものですね。
先日、私用で山形まで行ったときに荷物で最も迷ったのは、やはり本でした。
母方の実家だったのですが、丸一日以上の時間を潰さねばならなかったので、
本は欠かせなかったのです。それを選ぶのにどれぐらいの時間をかけたことか。
折角だから家にある本の読み直しをしよう、と思い立ち、本棚の奥に
しまってある本と手前の本を出したりしまったり開いたり閉じたり。
懐かしいなあとにこにこ笑いながら本を探す作業は本当に楽しくて、
気が付いたら驚くほど時間が過ぎていました。
結局、文庫一冊と新書二冊を厳選し、読了して帰ってきました。
新書のうち、一冊は『魍魎の匣』(京極夏彦・著/講談社ノベルス)でした。
久々に読むと、やはり重かったです。持ち歩くときよりも、実際読むときが。
その重みすら懐かしく、また嬉しくなってしまう自分が面白く思えました。
残りの二冊は、個人的な趣味のものですが、『海のある奈良に死す』
(有栖川有栖・著/角川文庫)と、『雪下に咲いた日輪』と『薬屋探偵妖綺談』
(高里椎奈・著/講談社ノベルス)です。出先に持っていって一番重宝したのは
『すべてがEになるI Say Essay Everyday』(森博嗣・著/幻冬舎文庫)ですね。
栞をいつ挟んでも気にならず読み始められます。勿論、内容も面白いです。
あと、マットな質感のカバーも好きです。これらは個人的な趣味の本を
上げただけですので、蛇足なのですけれども。
お勧め、と声を大にして叫ぶわけではありません。
文学部の敵かと問われると逃げ出したい気持ちでいっぱいになります。
荷物が重くなると分かっていても、本を入れてしまいます。
本を、持ち歩くためだけに入れることを厭わない自分が、少し気に入っています。
(日文2年 佐々木かおる)
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