フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
29・30-11・特集2. 食と文学-5
2005年11月24日発行読書運動通信29・30合併特大号掲載記事16件中11件目
特集:1.携帯本/2・食と文学
お知らせ:1.文部科学省特色GP採択について/2.イベントについて
 
読んでいると食べたくなるもの
『羊をめぐる冒険』  村上春樹/著

妻と離婚をした「僕」の元にしばらくの間音信普通だった親友の鼠から
手紙が届いた。たくさんの羊が写された写真が添えられた手紙だった。
そのたくさんの羊の中に、不思議な、星の模様のある羊が一匹いた。
その羊に導かれるようにして「僕」はガール・フレンドと共に
羊をめぐる冒険が始まった。

この話は後半になると主人公が食事の為にいろいろなものを作って食べます。
ハンバーグ・ステーキ、ロースト・ビーフ、サーモンのマリネ、
マッシュルームのピラフ、たらことバターをたっぷり入れたスパゲティー。
他にもチーズ・ケーキやアイスクリームなども出てきます。
出てくる食べ物はどれもこれもおいしそうに感じる。
作り方もわりと簡単なものだから、読み終わった後にちょっと
作ってみたくなります。
他の作品でも食べ物が良く出てくるが、いかんせん主人公が
やる気のない人間なので、最初に出てくる食べ物はどこかしら
無機質な感じがして、まるで「絵に描いたもち」のような
薄っぺらな感じがします。が、だんだんと話が進むにつれ、
食べ物にも生気が宿っていくように感じられるので、おそらく
村上春樹の作品の雰囲気が全体的に問題発議・問題展開・問題解決という
序破急と変わっていくうちに、主人公の心情も変化しているから
かもしれないなと思いました。
(日文2年 柿沼友香)
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