フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2006年度を振り返って12
このタイトルは13まであります。
私と賢治と読書運動   日本文学科1年 平石 涼子
 私は、今年度、フェリス女学院に入学して、色々な環境の変化の中、
この読書プロジェクトに参加出来ることになって、
賢治作品に改めて触れることになりましたが、正直、賢治作品は
学校の教科書で、『注文の多い料理店』と『銀河鉄道の夜』をほんの少し
読んだきりでした。また、私がこの読書プロジェクトに入ったわけは、
本を読むことが好き、というだけで、しかもこれといって宮沢賢治が
好きではなかった、いや、あまり興味を持ってはいなかったのです。
だからこそ、読書プロジェクトの存在を知っていても、タイミングを逃し、
夏休み明け、後期の授業が始まる頃になってから、図書館4階の
ミーティングルームへ行ったのです。また、メンバーの皆さんから、
「花巻、行けなくて残念だったね」と言われても、ここ、フェリスでやる
中身の方に興味があったので、そこまで「行けなくて口惜しい」とは
思わなかったのです。しかも、ずっと宮沢賢治を取り上げていく
わけではないし、しかも、今まで読んだことがないものも読めるからいいか、
とすごく軽い気持ちで入ったのでした。
 上に記したとおりで、入ったのが遅かったので、まず大学祭が
私にとって初めての大きなイベントでした。しかも、その頃は、
自分は一体何をしたら良いのか分からなかったし、何も出来なかったのです。
なので、私は、読書プロジェクトの中にいるにも関わらず、
1番読書プロジェクトの出し物を楽しみにしていたと思います。
 そんな私が、物凄く印象に残っているイベントが、
キダーホールでのますむらひろし先生の『銀河鉄道の夜』の上映会です。
今まで思っていた『銀河鉄道の夜』と違う、人間だと思っていた
登場人物を猫として描いてある映画でした。何故、印象に残ったかというと、
今まで本を読むときは、行間を読むくらいで、ほぼ書いてあるままを
読む事が当たり前だと思っていました。しかし、賢治作品は
180度違った見方をすると、様々な発見が出来る話なのだと、
読者がいて120%になっていくような話なのだと感じたのです。
だからこそ、今まで私は賢治作品に興味を持てなかったのだと
気づいたのです。読んでいて、どこか物足りないというか、
疑問が残るというか、読んでいて消化不良のような感覚をもってしまう
のが嫌だったからです。しかし、この映画を見た後、賢治作品は、
たくさんの見方を考えて読まなくては楽しくないのだ、また、
よく分からないものとなってしまうのだと気づいたのです。
かといって、今までやってこなかったことなので、早々出来るわけもなく、
毎回の読書会では良い意見は言えませんでした。
なので、今年度の読書プロジェクトの活動の中で、新しい本の読み方、
また、本の魅力を知ることが出来ました。
 なので今は、賢治作品をもっと色んな風に楽しむために、
やっぱり花巻に行ければ良かったと思います。

幸田弘子氏朗読公演の様子
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