フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2006年度を振り返って13
このタイトルは1〜13まであります。
図書館 鈴木明子
 私が読書運動の担当になって、2年目が終了しようとしています。
今年度は《一冊の本》を宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とし、
テーマを「イーハトーブの迷宮をぬけて」と設定しました。
宮沢賢治の人気に後押しされる形で、イベント来場者数は昨年度を大きく
上回るなど、今年度の読書運動は大いに盛り上がりました。
中でも昨年の反省を踏まえ、読書会を月1〜2回ペースで開催できたことは、
作品理解、読書の喜びの共有という意味で、大変有意義であったと思われます。
この読書会には、中盤頃より学外の方が毎回来てくださったり、
また、緑園なえば保育園に読み聞かせに行ったりするなど、
今年度は読書の喜びを外部に発信できた年になりました。
音楽と読書が融合したイベントについても大きな進歩がありました。
大学祭で文学部の谷知子教授の率いる読み聞かせの会「おはなし音楽会」を
開催できたこと、1年間の締めくくりとして、文学部の宮坂覺教授、
音楽学部の平松英子教授、ピアニストのラファエル・ゲーラ氏をお招きし、
「風の又三郎・レクチャーと音楽」というイベントを開催することができたことです。
が、前年度よりの問題点も持ち越されています。イベント来場者の数は増えたものの、
その大半がオープンカレッジ受講生や、外部からの参加者であり、
学生への浸透力が弱いことです。読書の楽しさを学外に向けて発信することは、
この運動の最終目標でした。が、学生を飛び越えて、先に外部に
認知されてしまったのは、やや誤算といえます。今年度は各種アンケートの
回収率が悪く、一般学生の希望が必ずしも反映された活動とはいえなかった
ケースもあり、活動に参加してもらうためには、一般学生の読書運動に対する
希望を把握することが重要だということが痛感されました。
また、宣伝不足解消のための工夫の必要性も感じます。
その反省の中から、来年度は授業やサークル活動のときに
一言でもいいから活動の宣伝をするなど、できることからやっていこうという
気持ちがプロジェクト学生メンバーの中で盛り上がったことは、
たのもしい進歩です。今まで読書に興味がなかった学生にも
本を読んでもらうため、読書運動の書架である「私たちの今を読むコーナー」
の本に学生メンバー手製のポップをつけたり、学生にアピールする工夫を
したことも良い結果につながりました。
2007年度は、あさのあつこ著『バッテリー』を中心として児童書に光を当て、
「大人と子ども〜消えるボーダーライン」をテーマに活動していきます。
12月には学外より専門家をお招きし、読書に関するシンポジウムの開催と、
学生メンバーのポスターセッションが予定されており、これまでの活動の検証と
今後への展望を開く節目の年になるでしょう。
最後に、この活動を支えてくださる全ての方へ。
感謝の気持ちをこめて御礼申し上げます。ありがとうございました。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

緑園図書館2F宮沢賢治コーナー
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