フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2005年度を振り返って-2
開かれていく読書体験  英文学科4年 櫛谷仁美
・開かれていく読書体験  英文学科4年 櫛谷仁美

今年度を振り返り、つくづくと思うことがある。自分に、あともう
1学年あればいいのに、と。
 図書館主催読書運動プロジェクトが文部科学省の特色GPに選ばれ、
メンバー総意で「やりたい」と、決まった年間テーマが、旬の「フ
ァンタジー」。映画上映会も大学祭のウォークラリーも講演会も好
評で、行ったイベントも創作コンクールや朗読会と多岐にわたって
いた。読書通信も、主要担当メンバーを入れ替え、議題を考えたり
と、今までのやり方の枠を超える試みがいたるところに現れた年だ
った。これから先もこの変革は続くだろう。やっていて楽しくない
はずはない。ただし、きちんと参加できれば。
 今年、読書プロジェクトで私がやったことといえば、ウォークラ
リーの問題作成少し、ウォークラリーゴール地点受付、そして読書
通信の原稿依頼をメーリングリストで流したことくらいである。定
期的にあるミーティングにも、全くといっていいほど出なかった。
それなのに、報告書を書くのだから、他のメンバーおよびサポート
してくださった図書館の方々に申し訳ない気持ちでいっぱい、とい
うのが正直なところである。けれども、私にとっても読書プロジェ
クトにとっても得るものは多い年だった。
 昨年の2月に次の年のコンセプトをどうするかメンバーで話し合う
ミーティングが行われた。数あるテーマの中で「ファンタジー」に
しようという声が多く集まり、最終的に2冊の本に絞るにあたって長
く話しあった。思い出せるかぎりのファンタジー作品をホワイトボ
ードに書き出し、西洋と東洋(もしくは和物)に分類分けし、一般的
にどれが読みやすいか、年間テーマと絡みやすいか、幼稚すぎないか、
そもそもファンタジーにおいて児童文学と大人向けの小説との境界は
どこにあるのか、といった深いところまで話し会うことができた。
「個人の中で閉じられ、積み上げられてきた本が、他人へと開かれつ
つある」という感覚を、読書プロジェクトという小さなグループで共
有できた、楽しく貴重な時間だった。「これまでの読書プロジェクト
の活動より、もっとみんなでわくわくしながらやりたい、来てくれた
人も楽しめるものにしたい」という思いをメンバーみんなが持ってい
るのを感じ、うれしかった。そうやって話し込んだ結果、来年度のテ
ーマを宮沢賢治に定めることもでき、いいスタートを切れたのではな
いかと思う。
 とくに大学祭は、ウォークラリーの問題も今までに無く凝った創り
にしたので、仕掛け人としてお客を見る楽しさも味わえた。なかなか
全問正解が出ない中、1組の高校生が全問正解をして、目をきらきら
させて話してくれたことが印象に残っている。本好きな2人には難し
い問題もやり応えがあったらしく、協力しながら問題を解いていった
そうだ。この大学に入って読書運動プロジェクトに参加したい、とま
でいってくれた。受付で回答カードを渡し、コースを誘導し、商品を
手渡す私たち読書プロジェクトメンバーは、彼女達にとってまぎれも
なく憧れの人になったのだ。また、昨年も来てくれたお客さんから、
今年の朗読はないかと問い合わせあり、私たちの活動を楽しみにして
くれる人がいる、ということを強く感じた2日間だった。
 振り返ってみると、これまでより参加型イベントも広く行われ、読
書プロジェクトが花開いた年だと思う。ほんの少ししか手伝えない私
でも暖かく仲間に入れてくれ、楽しい時間を分けてくれたメンバーの
皆さんにとても感謝している。これからも、有意義な時間を生み出す
プロジェクトとして自信をもち、頑張っていってほしいと思う。2年
間、本当にありがとうございました。

・2005年度を振り返って  日本文学科4年 瀧口 愛子

今年はほとんど活動に参加できない年でした。活動らしい活動は、チ
ャペルで行われた朗読の発表とそのCD用のイラスト、創作コンクー
ルのイラストだけです。なので、今年の「ファンタジー」に関する活
動については詳しく書けません。ただ本当に1年生から3年生は頑張っ
ていたと思います。学祭などを少し覗きましたが、ああ、いいなあと
思いました。読書運動プロジェクトの良いところは、「来るものは拒
まず」なところです。長く活動を休止していましたが、参加の意を伝
えれば受け入れてくれる、私にとってとても安心感のある場所でした。
4年間ありがとうございました。読書運動プロジェクトは、やろうと
思えばなんでも出来ます。来年度以降の活動も楽しみにしています。

画像は大学祭で講演する角野栄子先生
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