フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2004年度を振り返って10
朗読と村上作品と私  日本文学科1年 齋藤汐里
 今年度のテーマは「村上春樹」ということで
前々から村上作品に興味のある私としては
大変興味深い活動でありました。
読書運動プロジェクトと高校の図書委員会との大きな違いは
学生が主体となって主だった内容を定めた上で
展開していくところだと思います。
そしてそのなかに「朗読」というコンテンツが
はいっていることがおおいに私の興味をそそりました。
 さてまず印象に残っているのは
チャペルを貸しきって村上春樹作品と70年代について
演劇風(カフェをイメージして)に発表したことでしょうか。
その中で私は今年度の一冊であった『風の歌を聴け』を朗読しました。
人前でものを読むということはなかなか機会がなかったので
緊張する部分もありました。
とりあえずつっかえずに読むということが大前提であったので
「ものを表現する」ということにはいたってなかったと思います。
ものの読み方においても声が小さいということはありませんでしたが
なかなか強弱がつけられず、というよりも心が及ばずに
ずっとフォルテッシモ、フォルテッシモ、フォルテッシモ・・・・
緊張するあまりになかなか間を取れずに
すごい速さで読んでいるのにもかかわらず
全然気づかないこともありました。
 しかし村上作品独特の世界観は
声にしていて大変面白いものでありました。
主人公の友人が「鼠」という名前で登場するにもかかわらず、
誰もそのことを不思議と言わない。
さらにこの主人公である僕と鼠はこの『風の歌を聴け』だけではなく
その続編にも登場してくれるのでさらに興味をかきたててくれます。
 さて朗読はここだけにとどまらず
文化祭の際にも発表させていただきました。
会場が図書館というわけでまず場所選びからでした。
結局音の響きなどを考えて階段の踊場となりました。
そのときは村上春樹の新刊『アフターダーク』を朗読しました。
準備段階で「読み始めるとだんだん速くなってくる」
との指摘が入りました。しかし、いくらゆっくり目に読んでも
結果的に速くなったり、練習では程よい速さを保っていても
少し気が入ると速くなってしまったりということがありました。
なによりも私がどのくらい速く読んでいるか
認識していないということもあったのです。
その対策としてテープレコーダーに
自分の声に録音して聴いてみました。
自分の声を聴くこと自体が恥ずかしいことではありましたが
また恥ずかしいのはマシンガンのように
立て続けに読んでいることでした。
何回か聴いては録り、聴いては録りを繰り返し本番へと臨みました。
『アフターダーク』については女の子と男の人の会話が
分かるように心がけたつもりではあります。
結果としてはなかなか好評だったので
次につなげるいい機会となりました。
 さて来年度のテーマはファンタジーです。
朗読の係りになったこともあり、どんな作品が読めるのかと
今からわくわくしています。
 いい作品にめぐり合えると幸せです。
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