フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2004年度を振り返って11
「読書プロジェクト」と私  日本文学科1年 齋藤のゝゑ
 「読書プロジェクトってなんだろう?」という疑問を抱いたまま
私はこの団体に籍を置くことになった。
友達の誘いでなんとなく、そういったかんじだった。
読書は好きだが自慢できるほど読んではいない、
大体年間の一冊にでも取り上げられた村上春樹氏の本も
『ノルウェーの森』しか読んでおらず、まさに
「私、ここにいていいの?」という思いを抱き続けていた。
他の部との掛け持ちでミーティングにも満足にでられないし、
朗読の技術も皆無。私の在籍する意味など、
話し合いの場で相槌を打つくらいのものだった。
 しかし、あるときフューチャーされていた村上春樹氏の本を、
それとなく読んでみたのである。
それはオウム真理教の信者、あるいは元信者の方への
インタビューをまとめたものであった。
村上氏がフィクションのみならず、鋭い目線で現代を、人の心理を、
そして事象をみつめることのできる方であることが再認識できた。
もっと村上氏の本を読みたいと思った。
読書って知識だけを広げるためではない、そう思った。
感化され、物事を深く突き詰められる目を持ちたいと強く思ったのである。
しばらく忘れていた本を読むことへの欲求が再び動き出したのであった。
 また、読書プロジェクトの活動の一環、
読書会にも参加させていただいた。大変ためになったと思っている。
様々な方面の知識を持っている人々のやりとりは、
やはり読書をもっとしたいという気持ちへとつながった。
また、自分の好む作家への思いを熱く語ることもでき、とても満足できた。
 読書プロジェクトに関して、
私は地域に与えた影響や、読書の意味など、大仰なことは言えない。
言えるのは、ただ個人的なことである。
それは、読書は面白い、そして、村上春樹氏は少なくとも、
私のような無知な女にでも本という媒体を通して
衝撃を与えられる人であるということだ。
2004年度のテーマ、「等身大の自分を探す」、
それが自分の中に波紋を及ぼし、
映画の上映会や同テーマの読書会に参加できて、
なにかが確かに自分の中に残った、
これは読書プロジェクトに入り手に入れた確かな功績である。
 是非、多くの人に知っていただきたい。
読書は面白い。そして、読書により自分の世界が広がってゆく感覚を
是非感じていただきたい。これからの我々読書プロジェクトの活動が、
その助力となることを願うばかりである。

緑園図書館2階「村上春樹氏著作展示コーナー」
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