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| 事務局報告 図書館職員 池内有為
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2004年度は学生メンバーの活躍が目立つ1年でした。
テーマ設定から積極的に参加し、年間ポスターのデザインやイベントの企画など、
多忙な学生生活の合間を縫って精力的に取り組む様子には頭が下がりました。
前期に実施したThird Breeze“Café 潮風”は、
『風の歌を聴け』の舞台である1970年代を理解するためのユニークな試みでした。
「“Café 潮風”に来た3人の客が当時の風俗について語り合う様子」を
司会者と観客が一緒に覗き見する、という劇中劇の設定で、
パフォーマンス終了後には実際に70年代を体験した観客の方から話を伺うなど、
参加者とコミュニケーションを取るための工夫も凝らされていました。
また、イベントのカウントを「第１回」「第２回」…ではなく
『風の歌を聴け』の「風」にちなんで「First Breeze」「Second Breeze」…
とした点にも、学生メンバーのセンスが光りました。
後期は昨年に引き続き、大学祭で朗読会とウォークラリーを実施しました。
自主的に“合宿”まで行って準備にあたってくれた結果、
小さな子どもから年配の方まで360名もの参加者を集め、
大盛況、大成功のうちに終了しました。メンバーたちの明るさや
参加者に対する気配りは、フェリスのＰＲにもなっていたと思います。
3年目ということで、これまでの活動が少しずつ実を結んだ年でもありました。
まずご紹介したいのは、「私たちの＜今＞を読む」コーナーの開設です。
これまでの活動を通じて、「現在活躍している作家の作品を読みたい。
またテーマとして取り上げてほしい」という要望が多いことが分かりました。
そこで大規模なアンケート調査を実施して、
現代作家の小説やエッセイなど300点を購入しました。
学生や教職員に募った寄贈図書とあわせてコーナーを開設したところ、
すぐに利用が殺到し、年間の貸出ランキングにコーナーの本が何冊も入りました。
中でも読書運動で取り上げてきた村上春樹や宮部みゆきの作品の貸出が多く、
嬉しく思っています。
全体の傾向としては、
�ゝ槁瑤澆罎�、江國香織、村山由佳を筆頭に
小野不由美、恩田陸、桐野夏生、高村薫、林真理子ら女流作家の作品、
��芥川賞受賞者の綿谷りさや金原ひとみなど
マスコミの注目を集めた作家の作品、
��『世界の中心で愛を叫ぶ』や『いま、会いにゆきます』、『木更津キャッツアイ』など
映画やドラマの原作が人気です。
読書運動のアンテナは書店や書評といった
旧来のフィールドだけではなく、テレビや雑誌、インターネットなど
様々なチャンネルに張り巡らせる必要があるようです。
本を知るきっかけが何であれ、
読書を楽しむ機会が増えるのは喜ばしいことだと思います。
また、このコーナーは学生の希望や寄贈から成り立っているため、
間接的に友人同士で本を薦めたり貸しあったりするような
効果を生んでいるのではないかと思います。
今後も定期的にアンケート調査を行ってコーナーを
充実させていきたいと考えています。
イベントでは、学外からの参加者が目立ち始めました。
昨年度から近隣の公共図書館や地域の広報誌などに広報を始めたのですが、
今年度になって学外の方の参加人数がぐっと増えました。
自分たちの活動が学内だけではなく一般に広がることは、
メンバーにとって良い刺激になっていると思います。
また、読書について年代や性別を超えて語り合う機会が増えることによって、
この活動がより豊かになるでしょう。
講演会や映画上映会などに欠かさず参加してくださるリピーターの方からは、
ときにはお褒めの言葉を、ときには厳しいご意見も頂戴し、
参考にさせていただいています。
ここ数年、全国的に大学と地域の連携が話題となっていますが、
当プロジェクトも地域を巻き込む活動にしていきたいと思います。
読書運動に対する問い合わせや取材の申し込みも増えました。
大学生や若者の本離れがしばしば取り沙汰される中での
積極的な取り組みとして評価していただいています。
現場では試行錯誤を重ねながら運営しているような状況ですが、
少しでも同様の活動の参考になればと思います。
反省点もいくつか述べたいと思います。
まず、活動が大学全体に広まっていないことがあげられます。
年間を通じてポスターを掲示したり、イベントのアナウンスをしたりすることによって、
その存在は知られつつあると思いますが、講演会などへの参加率はまだまだ低く、
せっかくの準備に見合うだけの成果が得られていないというのが現状です。
来年度以降は学生の興味を強くひきつけられるようなテーマやイベントの立案、
より大勢の参加が望めるような場所や時間の設定、
授業との連携などの模索が必要だと感じています。
2005年度のテーマは年末に学生アンケートを行った結果、
最も得票数の多かった「ファンタジー」に決定しました。
ここ数年『ロードオブ･ザリング』や『ハリーポッター』、
『ハウルの動く城』などのファンタジー作品が次々に映画化され、
好評を博しています。
映像を観た学生を読書にいざなえるような、
そしてファンタジー好きな学生を満足させられるような
フェリス独自の企画を考えていきたいと思います。
当プロジェクトは学生と教職員が一体となって活動を進めていますが、
スムーズな運営のためには密なコミュニケーションが欠かせません。
昨年度の反省からミーティングの回数を増やし、
これまで以上にメーリングリストを活用することによって、
出来るだけ情報を共有し、学生メンバーの意思を
反映しやすい体制作りに努めてきました。
今後も運営に関する話し合いの場を持って、
よりよい方法を探りたいと思います。
読書運動の効果を測定することも今後の大きな課題です。
活動をはじめた2002年度以降、
図書館の入館者数や貸出数は増加を続けていますが、
読書運動の影響は具体的に検証できていません。
来年度から定期的に読書量調査を行い、
プロジェクトが学生の読書活動に与える効果を
質・量共に測りたいと考えています。
まずは毎日新聞社の『読書世論調査』と同じ項目で
アンケート調査を実施することによってフェリスの学生の
読書傾向や量を把握し、今後の企画にも活用する予定です。
最後になりましたが、ひとことお礼を申し上げます。
圧倒的な読書量とカリスマ性で学生を牽引する三田村雅子先生、
本の話を始めると目がキラキラと輝く学生メンバーの皆さん、
多忙な日常業務の傍ら全面的にお手伝いくださる図書館スタッフの皆様、
広報にご協力くださる生涯学習課の皆様、
その他、活動をお支えくださるフェリスの教職員の皆様、
1年間ありがとうございました。
来年度もどうぞよろしくお願いいたします。
緑園図書館2階「私たちの＜今＞を読む」コーナー
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