フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2002-3-2活動報告書 各イベント レジュメ、プログラム
この記事は2002-3-1から2002-3-3まであります。
4月15日講演<アフガニスタン・危機にさらされた風景と日常生活>R.G.ジェフコット氏
【ジェフコット】
 皆さんこんにちは。学年の始めの忙しいときに大勢に来ていただいて
ありがとうございます。そして、今度のオープニングイベントに参加する機会を
与えてくださった読書会の皆さんにも、どうもありがとうございます。
 私は、今度日本に着いたばかりですから、ことばが間に合わない心配で
胸のどこかがどきどきしています。
 今日、ちゃんとした学習的な講演よりも、ちょっと個人的な話を
させていただきたいと思います。
 というと私のアフガニスタンの経験、私自身のアフガニスタンの
国土と住民から受けた印象、そして私がアフガンの人々に教わったこと、
いまでも頭に浮かんでくる懐かしい思い出のこと、そういうことについて
話したいと思います。
 言葉がときどき通じなくても、そして私のスライドは専門家の
すばらしい創作じゃなくても、いまから30分くらいこの発表の欠点を許して、
皆さんの心をアフガニスタンという国とその人々に向けてくださったら
ありがたく、感謝いたします。
 アフガニスタンの国土と風景のことなら、すぐ考えるのは山です。
首都のカブールに向かうとき、どの方向から入っても山を越える必要があります。
 すぐ見えてくるのはカイバル峠です。20世紀の中ごろまで、カイバル峠は
イギリス帝国のインド植民地の境界地になりましたが、
現在はパキスタンにあります。
 そしてこのカイバル峠は、いま、アフガニスタンから難民が大勢集まっている
ペシャワという町から、私たちの平和な時代にはカブールへの
帰り道が始まったところでした。
 このカイバル峠の写真はわりあいによく撮れたので、ぜひ見せたいと思います。
 そして私は、これからアフガニスタンの昔の習慣どおりにスカーフをやめます。
建物の中に入って、友達か仕事のところにはほとんど使わなかった。昔は。
 地図に私がフェリスのシールをはりましたけれど、電気でピカピカする
と思いましたけど、カブールはこちらにあります。
そしてジャララバードはこちら。いま私が話していたペシャワはこちらです。
そして、カイバル峠は、ちょっとパキスタンに入ったところにあります。
 このカイバル峠を渡る道は、カーブはけっこうありますけど、
カブールを通ってジャララバードの間にあるカブール川が流れている
カブール峡を急に登る道が、もっともっと険しい道です。
 これはカブール峡。
 そして、カブールからどこかに出掛けると、もちろん山があります。
これは、イランから飛行機でカブールに向かうときに窓から見えた景色です。
やっぱり山です。
 そして、カブールに着いても、また市内には高い山が見えます。
 カブールから地方のどこかに出かけると、もちろん山があります。
アフガニスタンの南東にあるヌリスタンの地方、そしてカブールの北門の
チェックポイントとして、北のほうにここから高い山の方向に2時間くらい車で
行ったらすぐ、ソラングの峠のトンネルに着きます。峠まで来ないで、
ちょっと西のほうのこの山に入ったら、長い山脈があります。
 最もアフガニスタンの高いところからちょっと下がってきたら、
高原もあります。これはわりあいに広い高原です。
 北西部には、もっと下がったところに広い平野もあります。
 こちらはトルクマニスタン。トルクマンの平野で、そこには
長い広い川が流れてきます。
 ここからもう少し南のほうに行ったら砂漠になります。砂漠は、
砂の砂漠も石の砂漠もあります。
 アフガニスタンの国土に損害を与えるのは、人間の道路、農場、牧場
だけじゃなくて、天成の損害もあります。これは40年くらい前の地震でできた
小さなダムで、幸いに川はまだ流れていまして、このあたりにだれも
住んでいませんでした。このころのアフガニスタンにあった地震は、
こんなにラッキーなことはなかった。
 地震でできたダム。それはひらいた山のところ。ちょうど見えますね、あいたところ。
アフガニスタンの山は、もちろん交通は不便になりますが、
1970年代の初めごろには、西南アジアの貧乏な国として、アフガニスタンには
わりあいにいい道路網ができていました。大きな町から地方のあちこちに
行けるようになっていました。
 でも、アフガニスタンの山は、いくら不便になっても、ずいぶん大切な
役割を果たします。毎年春になったら、山の上に積もった雪が溶けて
国中の川にはきれいな水が流れてきます。そして谷と平野にはだんだん
草と作物の緑があらわれてきます。
 雨があまり降らない乾燥地帯が多いから、春に流れてくる水は農民の生命を
維持する大切な資源です。国連の食糧農業機関の統計によれば、
アフガニスタンの人口の8割以上は農民です。この1つの事実がわかれば、
アフガニスタンにとって水がどれほど価値が高いかがすぐわかると思います。
 農業には、カレッズという地下の水脈も必要です。カレッズは命の水源の
灌漑用水を農村に導きます。古代から代々伝わってきた村の財産です。
 カレッズというのは、深い井戸を50メートルくらいおきに掘ってあって、
その井戸の間に横穴も掘ってあります。大切な水の流れる方向も
コントロールできるし、ずいぶん乾燥した夏の空気に水が蒸発しない工夫です。
 大昔から何百年にわたってだんだん国土に広げ、丁寧に農民が掘ったり
修理したりしたカレッズは、20年以上続いた戦争で破壊されてしまいました。
アフガニスタンの耕作地の85%ぐらいがカレッズの水が必要ですから、
国の復興にはカレッズの修復は第1優先の仕事です。
 そして、その水が流れてくるところに、農業で幸いするのは、主に小麦、
トウモロコシ、ジャガイモ、タマネギ、トマト、ナス等々、
そして世界一おいしい果物です。とくにブドウ、メロン、アンズ、モモ、
クワがおいしい。マルコ・ポーロもそう書きました。
アフガニスタンのブドウについて。
 これは干しブドウです。
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