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2002-3-4活動報告書 各イベント レジュメ、プログラム |
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この記事は、2002-3-4から2002-3-6まであります。
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| 読書運動プロジェクト第２回講演会を開催します！｢仏像とブルカの＜アフガニスタン＞｣講師 今澤紀子先生
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今澤紀子先生プロフィール
東京大学人文科学研究科修了
東京女子大学および本学国際交流学科非常勤講師
（本学講義題目「中東イスラム世界の社会と文化」）
専攻 中東近現代史
プログラム
オープニング チェロ演奏バッハ作曲無伴奏チェロ組曲第２番二短調より“Sarabande”
講演｢仏像とブルカの＜アフガニスタン＞｣
エンディングチェロ演奏バッハ作曲無伴奏チェロ組曲第2番二短調より“Menuet��,�供�
チェロ演奏 廣瀬純さん(音楽ディプロマコース専攻)
６月１７日(月)16：30〜18：00於キダーホール（入場無料・どなたでもお入りください）
仏像とブルカの＜アフガニスタン＞
講演要旨
一方には、粉々にされ空洞となった世界遺産の磨崖仏と、テントのようなブルカに
身体をすっぽりとおおわれ目元の透かし模様の奥から視線をおよがせる女性たちの姿。
他方には、歓声をあげながらダイナマイトで仏像を破壊し、女性たちにブルカを強いる
ひげ面のターリバーン。一方に対するいたましい思いがつのれば、
それだけ他方に対する善良な人びとの怒りがたかまる。こうした舞台装置を背景に、
テロリスト組織アルカーイダに隠れ家を提供したかどですでに国連制裁の対象となっていた
ターリバーン政権は、ついにニューヨーク九月十一日事件の報復軍事攻撃の
標的となって崩壊した。ただし、この攻撃の過程で、少なからぬ数のアフガニスタン
民間人が＜必然的に＞巻き添えをくって死傷し、徴兵されたターリバーン兵士の
頭上には新型の大量殺戮兵器が容赦なく炸裂した。この犠牲はしかし、ブルカから
解放された女性たちと英語を流暢にあやつる新しい指導者たちの登場によって
報われるのかもしれない。…だが、それにしても、
女性たちはなぜブルカを脱がないのだ？。
こうした他者の＜自由＞を念じる善良な人びととは全く別の視覚から、
仏像について、またブルカについて思いをめぐらせた人物の一人が、
映画「カンダハール」の監督であり、「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない…」
の著者であるモフセン・マフマルバフ。映画と著書にあらわれたマフマルバフの思想は
人間の普遍的な感情にストレートに訴えかけるものであり、そのスタイルも
平易でわかりやすい。しかしマフマルバフがイランの知識人であることの意味を
考えつつ、彼の作品を見なおし読みなおしてみるとき,一つの問い,一つの謎が
姿をあらわし、彼の作品は異なる相貌をもって立ちあらわれてくるかもしれない。
�汽▲侫�ニスタンの基礎データ(地勢と歴史)⇒地勢・歴史
アフガニスタンは、イスラーム共和国のイラン、社会主義国の中華人民共和国、
天然ガス等の資源を埋蔵する旧ソ連三国のタジキスタン・ウズベキスタン・
テュルクメニスタン、カシミール問題でインドと対立するパキスタンという
６つの国と国境を接する内陸国として、地政学的にきわめて重要な位置をしめている。
中央アジアの中心に位置するアフガニスタンは、古来さまざまな民族が往来し
現在も多数の民族が混在している。現在のアフガニスタンの国境線は帝国主義列強の
圧迫のもとで２０世紀前半に画定したが、そのさいパシュトゥーン人居住地の
およそ半分がインド帝国(現在のパキスタン北西辺境州)に組み込まれたことに
象徴されるように、民族の居住範囲と国境線は一致していない。
�曲�像を破壊したのはだれなのか？⇒資料［1］
仏像破壊に対する一般的な反応はターリバーン政権の狂言に対する非難であった。
しかし、この事件のはるか以前からアフガニスタンに関心をよせアフガン難民を
題材とする映画を製作したこともあるイラン人の映画監督モフセン・マフマルバフ
（2001年３月）と1984年からパキスタン・アフガニスタンの辺境地帯で
医療活動を展開してきた日本人医師の中村哲（2001年４月）はこの事件に対する
異なる見方を示している。
しかも興味深いことに、両者の見方は非常に似たものとなっている。
�型邑⊃�害か治安回復か？⇒資料［2］［3］
フランス人ジャーナリストによるターリバーン政権下のカブール潜入撮影
（2001年８月）。
公開処刑・ブルカを被った女性・女性の隠れ学校などターリバーン政権による
「人権侵害」の映像と日本人医師中村哲による批評。
�献屮襯�は女性の抑圧装置か？
モフセン・マフマルバフはブルカをフランス人ジャーナリストほど単純ではないが
抑圧装置をみている。⇒資料［4］
中村哲はブルカは女性の伝統的な外出着にすぎず、抑圧装置ではないと考える。
さらに、中村哲の立場は現地の慣習を尊重するということで一貫している⇒資料［3］［5］
ニルファー･パズィラは最初ブルカを忌避していたが、治安状態の悪い地域での
撮影を通じて,ブルカの着用に心地よさを感じるようになり、ブルカの本質は
抑圧装置としながらも、アフガニスタンのような状況下でのブルカの効用を認める境地にいたる。⇒［6］
「コーラン」における精神的な意味での男女平等を規定した章句。［7］
「コーラン」における女性の服装を規定した章句。服装についての詳細な規定はない。⇒［8］
�好皀侫札鵝Ε泪侫泪襯丱佞領�脚点
イラン知識人のマフマルバフは抑圧装置としてのブルカを否定し、
西欧の批判者のような西欧的な服装の＜自由＞、つまりは女性の＜解放＞を
求めているのか。あるいは、イランのレベルの服装の＜自由＞、顔を出したチャドルを想定し、
男女の社会的役割の区別を前提とした女性の＜解放＞を想定しているのか。
マフマルバフはイスラームについての質問に対して真っ向から答えていない。
答えられないのか、あるいは答えたくないのか。マフマルバフの答えは各人にとっての
イスラームの多様性というものだ。
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