フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2007-5活動報告書・学生メンバーの感想-4
2007-5活動報告書・学生メンバーの感想-4 *この記事は1〜8まであります
2007年度をふりかえって〈英文学科 2年 宮川いづみ〉
 私は本がとても好きだが、中でも児童書は特に気に入っている。
『ズッコケ三人組』シリーズ、『かぎばあさん』シリーズ、小川未明の
童話、『大草原の小さな家』シリーズ、新美南吉『ごんぎつね』
などなど、小学生の頃にはたくさんの児童向け作品を読んだ。
どれも面白くて、読んでいると心が弾むのだ。そのため、今年度の
テーマがあさのあつこを中心に、児童文学を見ていくということに
決定した時、どんなことをするのかとても楽しみだった。

実際の活動の内容は本当に盛りだくさんであった。前期の読書会や
上映会は『バッテリー』に関連して、スポーツものの小説や映画を
取り扱った。また、始めの頃には「私の好きな児童文学」という
テーマでプレ読書会も行った。後期は『バッテリー』の読書会、
読書フェスティバルでの『ランナー』の朗読会の他に、スポーツもの
とは打って変わって、梨木香歩『家守記譚』の読書会、及び学祭講演会
が行われた。児童書というものは意外と奥が深く、色々な切り口から
見ることが出来るのだなと思った。子どもに向けられたものだけれども、
決して単純なものではないことに気が付いた。児童書だからといって
軽んじてしまってはいけないのだ。むしろ子どもが読むものだからこそ、
その中には大人も知っていなくてはいけない大切なことが書かれている
のではないだろうか。

また、個人的な経験としては人前に立つことが多かった。あがり症の
私が、今年は大勢の人の前で話したり発表したりする機会が2回も
あったのだ。1度目は学祭の講演会の司会である。学祭講演会では
来場者数が300人を超え、ほぼ満席状態のグリーンホールを見て
とても驚いた。たっぷり設けてあったはずの質疑応答の時間も
あっという間に過ぎてしまい、逆に時間が足りなかったくらいだ。
2度目に人前に立ったのは読書フェスティバルの時である。学祭の
時よりも来場者の年齢層の幅が広く、少し新鮮な気分を味わえた。
緊張したけれど、どちらもとてもやりがいがあり、とても楽しかった。

 1年間を通じて児童書を様々な切り口から見てきたが、何だか
まだもの足りないような気がする。児童書は本当に色々な魅力を
持っているのだ。本当は来年もまた、児童書を扱いたいとさえ
思ってしまう。またいつかやれたらいいなと思う。

来年度のテーマは安部公房。彼の作品はとても不思議な感じがする。
例えば、短編「赤い繭」の最後では主人公の男の体が赤い繭となって
どんどんほぐれていき、最終的に男は消滅してしまうという、
現実では起こり得ないようなストーリーになっている。しかし、
その不思議さは『不思議の国のアリス』などのような、非現実の
世界が舞台になっている物語とは何かが違っているような気がする。
このような、ファンタジーとは一味違った安部公房の不思議ワールドを
じっくり味わいたい。
                         英文学科 2年 宮川いづみ
Copyright(c) 2000-2006, Ferris University Library. All Rights Reserved.