フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2007-5活動報告書・学生メンバーの感想-8
2007-5活動報告書・学生メンバーの感想-8 *この記事は1〜8まであります
1年間の活動を振り返って
今年度は、作品が映画化され、今が旬とも言える、あさのあつこ著
『バッテリー』を課題図書とし「児童文学」を取り上げた。
昨年度テーマの宮沢賢治作品と同様に、比較的読みやすい作品が
多く、また映画化やドラマ、漫画化された作品も多いこともあり、
学生にも親しみやすいのではないかと最初は思われていた。
しかし、実際に活動をはじめて、1つの問題に突き当たった。
逆に読みやすい作品が多いため、わざわざ他者と意見交換をせずとも
自分の中で物語が完結してしまい、昨年のテーマであった宮沢賢治の
作品のように読書会などで皆と話し合う必要がないと思われてしまった
ようなのである。宮沢賢治の作品はどれも、一見読みやすそうに見えて、
その実内容は深く、様々な解釈や意味をもつ作品ばかりである。
そのため、読書会などで自分とは違う解釈や感想を聞き、話し合う
楽しさがあった。しかし、今年度のテーマである児童文学は、
表現が簡単なこともあり、自分1人でわかった気になってしまう
作品が多かったのである。そのためか、読書会や上映会には一般学生
からの参加者が極端に少なくなってしまった。今までの活動内容を
見直し、反省すると共に、本を選ぶことの難しさを痛感させられた
1年だった。

が、横浜市教育委員会主催のイベント、読書フェスティバルに
「朗読・演奏会」招待参加という、今までにないうれしいことも
あった。朗読会で題材となったのは「フェリスの一冊の本2007」に
選定された『バッテリー』の作者、あさのあつこ著、『ランナー』
であった。全てを読むには量が多すぎたため、「薄雲の下で」と
いう章を選んで朗読を行った。音楽学部や、読書運動プロジェクト
以外の学生メンバーの協力も得て行われたこの「朗読・演奏会」は、
プロジェクト始まって以来の外部イベントだった。学内でもあまり
交流がなかった音楽学部の学生と共に行えたのも楽しくうれしかった
が、学内外問わず、色々な立場の人に、私たちの読書運動と、
読書に対する興味をもっていただけた、ということが一番の
収穫だった。

 大学祭では、作家の梨木香歩さんをお招きし、ご自身の作品を
朗読していただくという画期的なイベントを行ったが、予想以上に
多くの人が集まり、うれしい悲鳴をあげた場面もあった。今年は
3年生という、活動の中心学年として、今まではあまり気がつか
なかった大変さを知った。そして、同時に1つ1つイベントや行事を
作り上げていく楽しさや達成感も知ることが出来た。

 来年度は安倍公房を中心に据え活動していく。私自身、どこまで
活動に参加できるかわからないが、頼もしい後輩達の手助けをして、
より多くの人に読書の楽しさを知っていただきたいと思う。
充実した1年になるよう、努力していきたいと思います。
                        日本文学科 3年 矢島陽南子
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