フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2007-7活動報告書・おわりに-1
2007-7活動報告書・おわりに-1 *この記事は1〜2まであります
附属図書館鈴木明子
 ただ本を読むことを勧めるのがどうしてこんなに難しいのか、
そればかり考えて、この1年は終ってしまいました。企画した
イベントになかなか人が集まらず、学生メンバースタッフ共々、
悩みながらの活動でした。

 学生には本よりももっとほかに興味のあることがあるのだとか、
しょせん本好きな人は読書をするし、そうでない人は本を読まない、
というのは、自分に対する言い訳だと私は思っています。

 今年の活動が今ひとつ盛り上がりに欠けたことについて、
反省すべき点は多々ありますが、一番はサーチの甘さだと考えて
います。学生が今何を知りたがっているか、どの時間帯にイベントを
組めば参加がしやすいか、どんな媒体から情報を得ているか、
などなどの調べ方が足りなかったのが一番悔やまれることです。

 それは宣伝、広報にも言えることで、本を読むとどんなメリットが
あるか、読書運動に参加したら何が得られるかを、伝えきれなかった
ことが残念でした。

 今年度は、あさのあつこ著『バッテリー』を課題図書とし、
「児童文学の現在〜大人と子供・消えるボーダーライン」をテーマ
としましたが、はたして、それは学生が読みたい本であり、
知りたい内容であったか、今となると首を傾げざるを得ません。
もちろん、年間テーマは教職員からの押し付けではなく、
読書運動プロジェクトの皆で話し合って決めたことですが、
アンケートや人気投票などの機会を増やし、さらに広く、一般の学生
の意見を求めるべきでした。

 私たちの読書運動は、読書のきっかけ作りを目標にしています。
児童文学である『バッテリー』は、大学生にとっては、あまりにも
簡単に読める本だったかもしれません。実際にこの小説を読んでみると、
いろいろな問題提起のある、とても一口に易しいとは言えない本
なのですが、文体の平易さからか、わざわざ読書会に参加してまで、
皆で意見交換をすべき内容とは思ってもらえなかったのかもしれません。
また女子大の読書運動で、中学生が主人公の野球小説が、妥当な
課題図書であったかというと、やはりもう少し考えるべき点があった
のではないかとも思えます。

 これらの問題点は来年度に生かすとして、今年の良かった点に
ついても考えてみましょう。今年度は、フェリスの読書運動が世間に
認知されているということを印象付けた年でもありました。それは
11月に行われた、横浜市読書フェスティバルに招待されたことです。
 
 横浜市から、フェリスの読書運動の成果として、朗読かお話し会を
してもらえないか、と打診を受けたときは驚きました。色々と
苦戦続きのこの運動が、横浜市教育委員会と中央図書館にまで
知られているとは思ってもみなかったからです。
                 (2007-7活動報告書・おわりに-2 に続く)
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