フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
32-2・特集.1 就職関連の本-1
2006年5月31日発行読書運動通信32号掲載記事9件中2件目
特集:1・就職/2・書店のオススメの本
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『13歳のハローワーク』 村上龍 著 幻冬社
私の将来の夢は学校の先生になることです。
しかし、中学校のころの私には別の夢がありました。
けれども、その夢が自分に向いていないということに
早いうちに気付いてしまったのです。
正直なところ、自分の中の目標が一気に消えてしまい、
私は抜け殻のようになってしまいました。
高校受験のときも自分がどうしたいのかがわからず、
なんとなく過ぎていってしまいました。
高校生になってからも自分は将来何になりたいのか見えずに、
「このまま何の夢も目標もなく、流されるままの人生でもいかもしれない」
と考えていたこともあります。そこで、いろいろ迷いましたが、
やっぱり好きな仕事を探してみようと思いました。
だって苦しくても、失敗しても、そのほうが自分の性格にあっているし、
楽しいに決まっていると決心がついたからです。
そこで「自分の好きなことを仕事にするにはどうすればいいだろう?」
と考えてみました。まず、人に聞いてみました。
しかしそれだけではもの足りませんでした。
さらに資料を取り寄せてみましたが、まだぴんと来ませんでした。
この本の著者である村上龍は、
「この世には2種類の人間・大人しかいないと思います。
自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ている人と、
そうではない人のことです(本文6ページ)」と言っていましたが、
私もそのとおりだと考えています。
人は、自分の好きな仕事・自分に向いている仕事を生活の糧としているときが
一番がんばれると思うからです。
私が夢を模索している時には、この本は出版されていませんでしたが、
もしあのときに読んでいたら、私の夢は今とは違っていたかもしれません
。 なぜなら、この本は色々な仕事が分野別にわかりやすく整理されていて、
今まで自分が知らなかったジャンルにどんな仕事があるのかわかったり、
どの仕事もすてきに見えてきて目移りしてしまったりするほどだからです。
また読み物としても面白い1冊です。
このように『13歳のハローワーク』という題名がついていても、
13歳だけを対象にした内容ではないことが理解していただけたと思います。
この題名は、「13歳という年齢が大人の世界の入り口にあたる」ために
つけられたそうです。江戸時代などとは違い、
現在の日本の13歳は自由と可能性を持っていますが、
それらがあるからこそ世界が大きく見えすぎて不安でいっぱいになる。
その不安を少しでも和らげるためにこの本は作られたということです。
自分のやりたいことを求めて大学に入学した人にも、
自分の進む道に迷っている人にも、就職を間近に控えている人にも、
『13歳のハローワーク』が一筋の道を示してくれるでしょう。
社会に飛び出すには勇気が必要だし、期待と不安が入り混じっていると思います。
この本を読めば、少しでも将来への不安を取り除くことができるでしょう。
私のお勧めの1冊です。(日文2年 高松彩子)
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