フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
36-3・特集 学び方のコツ-2
読書運動通信第36号掲載記事8件中3件目
特集:学びのコツ(特別寄稿 文学部助教授勝田耕起先生)
紹介:宮沢賢治の本 第4回
お知らせ:秋のイベント
『灯し続けることば』
大村はま 著 小学館
所蔵無し 発注中

 この本の作者大村はまさんは、国語教師として52年の長きにわたり教壇に立ち、
退職後も『大村はま国語教室』執筆はじめ教育について語り続けた方である。
この本は、大村はまさんの言葉ひとつひとつとそのエピソードをまとめたものだ。
私がこの本に出会ったのは、教職の講義のときだった。配布された資料に
この本の一部が載せられていて、目からうろこが落ちるような言葉、
そんな印象をもち、すぐに本屋にこの本を探しに行ったのを覚えている。
 数ページずつ収められたはまさんの言葉は、優しく語りかけながらも心に
重くのしかかる。「教える」とはどういうことなのか。はまさんが語るそれは
教職を目指す方にはもちろん、今後輩に指導したり「教える」立場にもある私たちの
「学び」になる。たとえば「裾を持ちなさい」というエピソードである。
ああしろ、こうしろと言うのではなく、一言、自然にそうできるような言葉をかける。
そうしてくれたらわかる、という納得、そうできるように一歩ひいてみよう、
と考えることにつながるだろう。
 また、はまさんの言葉は、学生としての私たちにも語りかける。
「優劣のかなたで学びひたる体験をさせたい」「進歩がなくても残念がらない」、
いつも肩肘を張って、完璧を目指そうとする私たちに「そのままでいい」と
気付かせてくれるのである。全体にあふれている、この本から学べるもっとも
大きなものはそんな優しさだろう。日々の生活を豊かにする学び、
そして謙虚な気持ちを学べる1冊である。
(日文3年 吉澤小夏)
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