フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
36-4・特集 学び方のコツ-3
読書運動通信第36号掲載記事8件中4件目
特集:学びのコツ(特別寄稿 文学部助教授勝田耕起先生)
紹介:宮沢賢治の本 第4回
お知らせ:秋のイベント
『大鏡の人びと〜行動する一族』
渡辺実 著  中公新書
請求記号 C||830  資料番号 100132940  緑園1階
請求記号 913.423||O38-W   資料番号 101524970 緑園4階

 タイトルの通りこの本は『大鏡』という歴史物語を取り上げた新書だが、
内容は『大鏡』にとどまらず『伊勢物語』『枕草子』そして
『源氏物語』にまでおよぶ。平安時代の文学の背景にある歴史を綴った物語
『大鏡』と、その文学作品をつなげていくのがこの本である。
『大鏡』の研究にはもちろん、そうした文学作品がどういった歴史背景で
生まれたかを考えるのに役立つ1冊だ。また、物の怪や百鬼夜行といった、
その時代の生活に根付いていた慣習も知ることができるので、
古典のそのような部分に興味がある方も読むことができる。
「みやび」「もののあはれ」人々が大事にする情趣は変化していく。
『大鏡』が伝えるのは、求めたのは、結局何だったのか。
対する『源氏物語』は。
最終的にそれを読み解いていく。
古典にあまり触れたことがない方は、嫉妬に狂った后妃がライバルの女性に
器の破片を投げつける、という『大鏡』の物語に触れたり
、怨霊のすさまじさを知ったり、古典の面白さを学べる。
そして古典をよく読む方は、作品を歴史という広い立場でとらえ
新たな考えの一端を学ぶことができる。どちらの方にもおすすめしたい本だ。
  (日文3年 吉澤小夏)
Copyright(c) 2000-2006, Ferris University Library. All Rights Reserved.