フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
36-5・特集 学び方のコツ4
読書運動通信第36号掲載記事8件中5件目
特集:学びのコツ(特別寄稿 文学部助教授勝田耕起先生)
紹介:宮沢賢治の本 第4回
お知らせ:秋のイベント
世にも美しい日本語入門
『世にも美しい日本語入門』
  安野光雅・藤原正彦 著 ちくまプリマー新書
請求記号 810||A49   資料番号 103371110  緑園1階

『世にも美しい数学入門』につづく「世にも美しい」シリーズ第2弾は、
数学者と画家が語る日本語の「美しさ」である。
私たちが当たり前のように毎日触れている日本語が、その美しさを失いつつある。
今消えかけている日本語のリズム・童謡・ユーモアを思い起こさせ、
そのかけがえのなさを教えてくれる本である。
 この本が面白いのは、数学者と画家が日本語について熱く語るからである。
著者の1人藤原氏は、この本のなかで述べているが、数学者でありながら
大学で読書ゼミをひらいているという。この本は読んで欲しい、
という何冊かを学生とともに読むゼミで、学生は読んでいくうちに
教養が身につくのはさることながら、感情が深くなる。
言葉の美しさに気付く。数学者である著者は、数学は言葉を駆使した
美しいものだとする。なぜ数学者が日本語の美しさを語るのが面白いか、
それはこの「数学は美しい」ということからわかる。
数学と国語、私たちはそれを文系・理系のように分け両極端のものとして扱う。
だが、根本は日本語でつながっているのだ。日本語が美しくなければ、
日本語で証明をする数学も美しくないだろう。
数学とか国語とか分断していたものの意外な共通点に気付かされるのが面白い。
また、それとともに、これまで別物として排除してきた異なる分野の
学びを示唆する点でも、根本にある日本語がいかに私たちに
豊かな感情をもたせる「美しい」ものであるかを学べる点でも、
糧となる1冊である。
            (日文3年 吉澤小夏)
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