フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」
2004年度20-2・特集 クリスマスにお勧めの一冊-6
2004年12月20日発行読書運動通信20号掲載記事3件中2件目
特集:クリスマスにお勧めの一冊
*この記事は1〜8まであります。
★『絵のない絵本』

この作品は、童話作家アンデルセンの「絵のない」絵本です。
貧しい絵描きのもとに月がやってきて、世界中で起こった出来事を語る、
というストーリーで、三十三の「絵」がこの作品の中に描かれています。
アンデルセンは、「旅こそが人生だ」と語ったように、旅に生きた人でした。
その彼が「月」となって、小さな幸せの話、ちょっぴり悲しい話などの話を、
包み込むように温かく、語り掛けてきます。
たとえば、二十一夜には、こんな話が描かれています。
少女が人形を木の上に乗せられ、取ることが出来ずに泣いていました。
やがて辺りが薄暗くなり、彼女は妖魔や幽霊が恐くなってきます。
自分は悪いことはしていないんだから大丈夫!と考えて、
自分を奮い立たせようとしますが、
彼女は以前、自分がアヒルを笑ったことを思い出します。
彼女は人形に「生き物を笑ったことがある?」と聞きます。
人形は頭を振ったように見えました。
自分は、生き物を笑うという悪いことをしたから罰を受けているんだ、
少女はそう思うのです。
少女の純粋な考え方に胸打たれる物語です。
愛しい物語を、月は一筋の光のように美しく照らし出します。
クリスマスの夜は満月のような丸い月が出ます。
月光を感じてみてはいかがでしょうか。
(吉澤小夏)
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