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2007年5月31日発行読書運動通信41号掲載記事6件中3件目
特集.学園青春小説
紹介.私の好きな児童文学
お知らせ.イベント、募集他
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『14歳の本棚―部活学園編―』 北上次郎編 新潮文庫
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所蔵なし 発注中
2000年まで『本の雑誌』の発行人だった北上次郎が選んだ、
中学生を主人公とした小説のアンソロジーで、森鴎外、
から氷室冴子まで幅広い作家が執筆しています。
それぞれの物語の中で描かれるのは、いじめであったり、
異性への気持ちであったり、大人へと変わっていく様子であったりと
さまざまですが、どの作品にも少年少女のひたむきな姿があふれています。
私がこの本の中で好きだったのは、氷室冴子の『クララ白書』と
川西蘭の『決戦は金曜日』です。
『クララ白書』は、中高一貫女子校の寄宿寮クララ舎に、
中学3年で入寮した主人公しのぶの奮戦記です。
まず、入寮条件として寮生たちから課された問題は、
食料庫に忍び込んで四十五人分のドーナツを作ることでした。
この本に収録されているのは序章と第一章の抜粋だけなので、
今後の展開がどうなるか気になるところですが、登場人物の気持ちが
ていねいに描写されているので、しのぶに親近感がわき、
読んでいる私まで楽しくなります。
『決戦は金曜日』の主人公健太は、かわいい女の子にどきどきしたり、
先生のことが鼻についたりと、どこにでもいる普通の中学生です。
そんな彼の誇りは、子どものころから通っている柔道教室で
負け知らずだということでした。が、あるとき道場主の娘で、
美少女の友里に、ものの見事に背負い投げで一本取られてしまったのです。
愕然とする健太と友里との再戦は、次の金曜日と決まりました。
勝負のゆくえは一体どうなるのでしょうか。
この物語は、スポーツに打ち込む6人の少年少女を描いた
短編集『ひかる汗』の一遍です。登場人物は皆みずみずしく、
読んでいると、なんだかこちらまで甘酸っぱい気持ちになってきます。
今回、アンソロジーを取り上げたのは、今まで学園青春小説を
読んだことのない人にも取っ付きやすいのではないかと思ったからです。
私自身、あまり学園青春小説を読んだことがなかったので、
まず手始めにこの本を読んでみたのですが、色々な物語があって、
とても面白かったです。きっかけ本として、お勧めの一冊です。
(日本文学科2年 平石涼子)
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